New Age of ZanzibART 東京
ザンジバルの3人のアーティストたち
Hashim Abdi(ハシム・アブディ)
Salum Muchi(サルム・ムチ)
Asaa Hamad(アサー・ハマッド)
Part 1
1996.3月25日(月)- 4月3日(水)
11:00am--6:30pm 初日のみ3:00pmより、最終日は5:00pmまで
ギャラリー・トモス
東京都中央区日本橋本町1-3-1渡辺ビルB1
3月30日(土)午後2時より作家ハシム氏を囲んで「タンザニア・アートの現在」についてのギャラリートーク(但し3月31日は休廊)
Part 2
1996.3月25日(月)-- 3月30日(土)
11:30am--7:00pm 最終日は5:00pmまで
ギャラリー21+葉
東京都中央区銀座3-4-17チェリービル
Part 3
1996.4月6日(土)-- 4月17日(水)
11:00am--7:00pm
松明堂ホール
東京都小平市鷹の台駅前松明堂書店B1
4月14日 (日)午後3時よりハシム氏のギャラリートーク 「私とザンジバルの妖怪、Shetaniについて」
ザンジバルの3人のアーティストについて
東アフリカ、タンザニア連邦共和国はキリマンジャロと巨大なクレーター内の動物の楽園ンゴロンゴロ自然公園などで日本にもなじみが深い。
今回の展覧会はそのタンザニア連邦共和国でインド洋に浮かぶ人口40万人の小島でありながら、タンザニアでは4番目の都市でもある、ザンジバルの
若い3人のアーティストを紹介する。
ザンジバルは海流と偏西風の関係で8世紀ごろから、すでにアラビア半島との交易がはじまっており、アラブとの関係は深く、内陸部とは文化が異なっ
ている地域である。そのため住民の96%はムスリムといわれている。
今回紹介する3人は、ザンジバル国立の美術・工芸学校である、Nyumba ya Sanaa (ニュンバ・ヤ・ サナー)の美
術・版画科の教師である。
3人とも二十代で、本格的に作品の発表をはじめて日が浅いが、
それだけにストレートな表現への信頼と喜びが伝わってくる、希有な作品を作り出している。
タンザニアでは、初等・中等教育では美術課程がなく、当然美術大学もほとんどない。
彼らはNyumba ya Sanaaで5年間の教育を受けたのちの初めてのザンジバル人美術教師である。
Hashim Abdi (ハシム・アブディ b.1969)
彼は今回、「第3回さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ」の準大賞を受賞し、授賞式への 招待のため、唯一来日する。
ザンジバルは住民の96%がムスリムでありながら、一方で土着信仰も根強く残っている。
その信仰の主人公は「Shetani、シェタニ」(サタンと同じ語源と考えられる)で、
日本の妖怪のようなものである。
シェタニは死者たちであり、私たちと同じ次元で生活していると 考えられている。
そして、私たちに悪戯を仕掛けて、楽しんだりしているが、
その姿は感受性の強い人や、強い興奮状態のときにしか見ることができないと考えられている。
彼は、そのシェタニたちの物語をまるで呪術師のように描き続けている。しかしハシムに言わせれば、
彼の日常生活を描くごとく、それは普通のことらしい。
そう彼は決して、呪術師ではなく、レゲエとホイットニー・ヒューストンが好きな ザンジバルの普通の青年である。
Asaa Hamad (アサー・ハマッド b.1969)
ザンジバルは19世紀から革命のあった1964年まで(1896年からはイギリスが実効支配していた)アラブのオマーンのスルタン(王様)
が統治していたことはあまり知られていない。
その宮廷音楽として栄え、のちに庶民の心を切々と 歌い上げる歌謡曲となったのがザンジバル地域独特の「ターラブ」である。
特にムスリムの関係で日ごろは表に出ることの少ない女性たちには、 彼女たちの本音を代弁してくれ、いい服を着
て集えるターラブのコンサートは大人気である。
アサーは、そのターラブのコンサート自体やターラブの歌詞(その多くは恋愛をあつかったも
の) をテーマに描いている。
しかし皮肉なことに彼の描く線は装飾的で、モスクの内装を喚起させるのである。
Salum Muchi (サルム・ムチ b.1967)
3人の中で一番年長の彼はこのグループのリーダー格である。
彼は、庶民の生活の語り部とでも言おうか、人々の生活や、 祭り、結婚式、呪術色の強い儀式等を黙々と描き続けている。
それらの多くは、どんどん近代化が進むザンジバルにおいて、 少しずつなくなったり、形を変えていきつつあるものである。
一方でムチは、彼等の身近な屋外でのディスコ大会や、喧噪のマーケットも活写している。
だから、私たちはそこに現代のアフリカの一地域の現在を直接的に感じることができるであろう。
--------------------------------------------------------------------
以上簡単に彼らの作品を紹介しましたが、今回 Hashim Abdi (ハシム・アブディ)との
ギャラリートーク(3月30日土曜日、午後2時よりギャラリートモスと4月14日日曜日、午後3時より松明堂ホールにて)も考えており、動物とキリマン
ジャロとルワンダの隣の国である、 タンザニアのアーティストたちがどういう作品を作り、何を考えているのか、
皆さんにご紹介できればと思います。
作品は、「第3回さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ」出品した80x90cm木版画のほか、
150x200cmの木版画作品を中心に木版画の小品や、ペンによるドローイングを展示します。
ぜひ、ご多数のご来場をお願いいたします。
*ザンジバル国立の美術・工芸学校、Nyumba ya Sanaa (ニュンバ・ヤ・サナー)について
1988年にザンジバル政府と日本の青年海外協力隊の共同プロジェクトとして設立。
ザンジバル人の教師が養成されるまでの間、染色・美術(版画)・彫刻の3つの部門の教師を協力隊で派遣した。
1995年3月このプロジェクトは、全部門でザンジバル人の教師が育ったので
終了した。今回の展覧会は、元協力隊員で1992年から94年まで3人の教師であった、荒井真一がプロデュースしています。
------------------------------------------------------------------------------
第3回さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ展
1996年3月22日(金)-- 4月7日(日)
北海道立近代美術館
国際現代版画ビエンナーレ 準大賞にタンザニアのアブディさんら2氏 大賞なし
日本最大規模の国際版画展「さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ」の審査結果が95年11月10 日、発表された。
3回目の今年は、76カ国1256人から計3033点が 出品されたが、大賞の該当作はなく、
準大賞にタンザニアのハシム・アブディさん(26)、英在住(中国籍)の許仲敏(シュウ・ゾンミン)さん(34)=ともに男性=の
作品が選ばれた。
このほか144点が入選した。うち日本人の作品は46点。受賞、入選作の展覧会は96年3月22日から4月7日まで、北海道立近代美術館で開かれ
る。
(1995.11.11 読売新聞東京版朝刊38頁 社会面)
back to ARAIart.jp